「機種変更で来ました」
「故障の受付をお願いします」
店頭で、お客様はまず“表面上の用件”を口にされます。その手続きを正確に、丁寧に終えること。決して間違ってはいません。しかし、それだけで本当にお客様は心から満足して帰られたのでしょうか。
そして店舗は、本来取れたはずの成果を取りこぼしていないでしょうか。いま店舗に足を運ばれる方の多くは、自分で調べてオンライン完結できる層ではありません。
「人に相談して、納得して決めたい」という、対面ならではの価値を求めている方々です。
だからこそ、語られた用件の奥を聞き出す力が、これまで以上に成果を左右します。
なぜ「用件だけ」の接客では本当の満足が生まれないのか?
お客様が最初に口にする来店目的は、いわば氷山の一角です。海面の上に見えている「機種変更」や「修理」は、あくまで“主訴”にすぎません。その海面下には、本人もはっきり言葉にできていない不満・不便・不安が沈んでいます。
ここを聞かずに手続きだけ進める接客は、医療で言えば症状だけ見て薬を渡す「対症療法」です。お客様は満たされない何かを抱えたまま帰り、店舗はクロスセルや単価向上の機会を逃してしまいます。
今求められているのは、病因まで辿り着く「正しい問診」なのです。
現場のリアル:問診ひとつで「修理受付」が「最高の提案」に化ける!
実際の現場で、問診によってどれほど海面下の本音(潜在ニーズ)が変わるかを見てみましょう。
ケース1:来店目的が「機種変更」の場合
海面下の本音:「家族に他社ユーザーがいて通信品質に不満がある」 → MNP・家族まとめの提案
海面下の本音:「頭金は払わずに料金を抑えたい」 → 購入プログラム・下取りの提案
海面下の本音:「カメラにこだわりたい・AIに興味がある」 → 上位機種+設定サポートの提案
ケース2:来店目的が「修理受付(故障)」の場合
海面下の本音:「仕事で使うから早く復旧したい」 → 補償サービスや代替機の活用
海面下の本音:「今の機種の特定機能に不満がある」 → 修理ではなく機種変更が最適解
海面下の本音:「安くなるなら乗り換えたいが残債がネック」 → 下取り・購入プログラムで相殺
修理という“出口”で来店されたお客様であっても、問診次第で「機種変更・回線・付帯サービス」まで一気通貫で解決できます。これこそが、お客様の満足と店舗の実績が同時に最大化する瞬間です。
センスに頼らない!ヒアリングを店舗共通の「型」に落とし込む
問診で深掘りすべきテーマは、主に以下の4つの領域に集約されます。
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通信(エリア・品質・データ容量・家族構成)
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端末(カメラ・画面サイズ・AI・残債・頭金)
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決済/金融(スマホ決済・カード・ポイント還元・お得なプラン)
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エンタメ/サブスク(動画配信・大画面視聴・趣味)
来店目的を入口にして、この4領域へ一段掘り下げること。これを個人の感覚やセンスに任せるのではなく、「店舗共通の型」にすることで、どのスタッフが接客しても確実に海面下に届く高品質な接客が可能になります。
明日から即実践!本音を引き出す「クローズド×オープン」の二段構え
お客様に「何をやりたいですか?」と直接尋ねても、明確な答えは返ってきません。多くの方は“分からないことが分からない”状態で来店されるからです。
だからこそ、答えやすい問診を順番に投げかけて本音を引き出す必要があります。
ステップ1:【YES取り(質問の許可)】
「料金が安くなるかもしれないので、いくつか質問してもいいですか?」
ステップ2:【クローズド質問(選択・一言で答えられる質問)】
「現在、他社をご利用中のご家族様はいらっしゃいますか?」
「今ご利用中で、お困りな点はございますか?」
ステップ3:【オープン質問(出てきた答えを糸口に深掘り)】
「他社のご家族がいらっしゃるんですね。電波や料金で何かお困りごとはありますか?」
「カメラにこだわりたいとのことですが、普段どんな場面で写真を撮られますか?」
クローズドで入口を開け、オープンで奥を広げる。 この二段構えによって、お客様自身も言語化できていなかった“不”が鮮明になり、表面的な用件だけでは見えなかった最適な提案の糸口が浮かび上がります。
まとめ:問診の「仕組み化」が店舗全体の成果を変える
来店目的だけに応えるのは対症療法であり、深層の理由まで踏み込むことこそが根本解決です。そして後者だけが、お客様の感動と店舗の数字の最大化を叶えます。
重要なのは、この問診力を一部の優秀なスタッフだけの技術にせず、「型として教育・仕組み化できる」という点です。仕組みに落とし込むことで、個人の力を店舗全体の大きな成果へと変えていくことができます。
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